アフターケアの必要性

児童養護施設で育った子ども達の多くは18歳の高校を卒業するタイミングで児童養護施設から退所します。

彼らはケアリーバーと呼ばれ「ケア」(care。保護)と「リーバー」(leaver。離れた人)を合わせた造語です。

厚生労働省が2021年に公表した全国調査の結果によると、ケアリーバーの20%超が自立後赤字生活に陥っているそうです。また直近1年間の施設等との連絡頻度をみると、「2〜3か月に1回以上」の割合が最も高く27.2%となり、次いで「月に1回以上」(20.7%)、「半年間に1回以上」(18.8%)、「1年間に1回もない」(14.2%)となっているそうです。

イコットを始める切っ掛けになった長田こどもホームでも施設を卒業した子どもたちが施設に遊びに来るもしくは連絡がある時はその子達の生活がうまくいっている時が多いそうです。何か上手く行かなくなった時、誰かに相談したい時ほど施設へ遊びに来てくれなくなったり、連絡頻度が落ちてしまうそうです。

施設退所後、彼らは多くの問題に直面します。社会人になる時、誰にも平等に何かしらの問題が必ず訪れたと思います。また同時に必ずしも周囲に頼れる大人が寄り添えているわけではない実情も浮かび上がっているそうです。

厚生労働省が2020年に度に実施した、ケアリーバーや施設職員を対象とした調査では「何か困った時の相談相手」の割合は施設の職員若しくは元職員が37.1%と最も高かったそうです。

でもわざわざ施設の先生に相談に行くのは気が引けるし、ハードルが高い。そんな時に何も理由なく、みんなで集まれる場所がある。それだけで「相談する」を選択するハードルは下がると思います。

人生は常に選択肢を求められます。それは些細なことであったり、大きなことであったり。選択する場面は日常生活の中にも無限にありますが、その時選ぶ選択肢によってはこれからの人生の選択肢を増やしも減らしも出来ます。

不安な時、悩んだ時に「相談する」を選択することでその子の将来の選択肢を増やす手伝いができれば、いいなと思っています。

このイコットとしてのアフターケアが、彼らが社会に適合し自立をする手助けのひとつになれればと思っています。